住宅営業のコツ「初回接客と追客のやり方・進め方」
住宅は、安い買い物ではないうえ、競合と目に見える形で差別化を図るのが難しい商材です。そのため、住宅の営業では「この人から買いたい!」と思ってもらえるかどうかが重要となります。
そして、その命運を分けるのが、「初回接客」と「追客」です。本記事では初回接客のコツや追客のやり方を具体的に解説します。これから住宅営業を始める人や住宅営業経験者で伸び悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
住宅営業における初回接客のコツ
住宅営業は初回の接客が肝心です。初回が上手くいかなければ、当然、次回は存在しません。初回接客の印象が契約を左右することもあるので、是が非でも成功させたいものです。
住宅営業の初回接客を成功させるコツとして、以下の4ツールの作成・活用をおすすめします。
●アプローチブック
●ヒヤリングシート
●自己PRシート
●接客終了後のお礼メール
各ツールの具体的な活用方法を解説していきます。
アプローチブックの活用
アプローチブックとは、自社商品やサービスの概要・利用のメリット・導入事例を一つの資料にまとめたものです。商談の際に活用するツールとして、住宅営業に限らず、さまざまなジャンルの営業マンが活用しています。
アプローチブックを使うメリットは、誰でも同じように高品質な営業活動を行えることです。また、そのほかにも「商談時間の短縮ができる」「個々人の商談レベルがアップする」「顧客の商品・サービスへの理解度が高まる」というメリットがあります。
アプローチブックの作成は、自社の強みや特徴などの分析から始めましょう。そのうえでポイントとなるのが「商品・サービスの良さが伝わるストーリー仕立てにする」「図や表を駆使して視覚的に見やすくする」「具体的な事例・実例を紹介する」という点です。これらのポイントを押さえて一貫性のある内容にすると、効果的なアプローチブックが作成できます。
前述のように、アプローチブックを作成する目的は、質の高い営業を誰でも行えるように均質化することです。説明すべき内容を明確にして、顧客の理解度をアップできるようにすることを意識しましょう。さらに、顧客の反応やニーズの変化に合わせて随時アップデートしていくことも大切です。
ヒヤリングシートの活用
営業活動では、顧客のニーズや条件を引き出すヒヤリングが欠かせません。ヒヤリングシートは、あらかじめ必要なヒヤリング事項をまとめておき、必要な情報の漏れがないようにする営業ツールです。特に住宅営業は、初回接客でヒヤリングしなくてはならない情報がたくさんあります。初回接客でのヒヤリングシートの活用によって、聞き逃しのないように顧客の情報を入手し、深層部のニーズをスムーズに引き出すことが期待できるでしょう。
初回接客のためのヒヤリングシートには、是非とも入れておきたい項目がいくつかあります。「顧客の現状や課題」「疑問・不安」「希望している時期・納期」、そして、「他社を検討しているか」などです。いずれも、顧客が話すことに主軸を置いてヒヤリングすることが重要です。
ヒヤリングシートを効果的に活用するためには、全項目を聞き洩らしがないようにしましょう。聞き出した情報は、のちに追客を行う際にも大変役立ちます。
自己PRシートの活用
自己PRシートとは、自己紹介シートと同義で、やはり住宅営業に限らずさまざまなジャンルの営業マンが活用しています。
特に住宅営業は、複数回にわたって打ち合わせを行い、何かと時間がかかるものです。顧客にとっては決して安くない買い物だからこそ、「この人から買いたい」と思わせられなければ、購入に踏み切ってもらうことは難しいでしょう。
そこで活用できるのが、初回接客時に顧客に見せる自己PRシートです。まずは会社名、営業担当の名前から始め、経歴や趣味なども記載してストーリー仕立てにすることで、顧客が読みやすく、また営業マン自身の魅力を最大限に伝えることができます。
また、自己PRシートとはいえ、自己紹介のみならず、会社や商品の良さを漏れなく盛り込むようにすると良いでしょう。
接客後のお礼メールの活用
接客後にお礼メールを送ることは、営業をかけるうえで基本的なマナーです。顧客とのコミュニケーションをスムーズにし、良好な関係を構築していくためには、必要不可欠なコミュニケーションの1つと言えます。お礼メールで顧客にきちんとお礼を伝えることができれば、それだけで良い印象を与えることも。
お礼メールは、初回接客の当日中に送るのが基本です。速やかに送ることでその日話した内容を深く印象付けることができます。とはいえ、焦って粗雑な文章を送っては逆効果です。送信前には誤字脱字をきちんとチェックするようにしましょう。そのほか、件名はお礼メールであることが伝わるように簡潔なものにし、顧客がメールを開くのを躊躇しないようにするための工夫が大切です。
また、お礼メールは顧客に感謝の気持ちを伝えることが最大の目的であることを忘れずに、営業に終始する内容にしたり、定型文などを用いた事務的な内容にしたりすることがないように注意しましょう。
住宅営業における追客とは?
追客(ついきゃく)とは、成約まで見込み客や顧客に定期的なアプローチをすることを指します。住宅の購入は高額なので、見込み客が購入を決心するまでは時間がかかるもの。追客を疎かにしてしまうと、アプローチがない間に他社の営業マンが見込み客に接近して、顧客が他社に流れてしまう事態も起こりえます。
初回接客から購入までの期間が長期化しやすい住宅購入では、つかず離れずの追客が重要です。
詳しくは「不動産業界用語の「追客」とは?実施手順や代表的な方法5つを紹介」を参考にしてみてください。
追客の準備で行うべき競合対策
商品やサービスの購入を長期にわたって検討している顧客ほど、その業界の良いところも悪いところも知り尽くしています。顧客は複数の業者の商品・サービスを比較し、より魅力のあるものを常に探しているものです。
特に住宅はサービスの差別化が難しく、工法の違いはあっても購入の目的や期待する結果は同じなため、顧客から見ればどこも似通った住宅に見えることも。そのため、住宅営業の追客のためには、競合物件の価格や立地、アピールポイントなど競合対策として把握しておくべきことがたくさんあります。競合をよく知るために、他社物件のチラシ収集や内覧会の参加、住宅関連のキーワードの検索結果で上位に表示される競合サイトのチェックなどを欠かさず行うようにしましょう。
住宅営業における追客の方法
住宅営業の追客には代表的ないくつか種類があります。
●メール
●手紙
●電話
●SNS
追客方法ごとに向いている場合と向いていない場合があるため、自分や顧客の特性に合わせて選ぶようにしましょう。
メールによる追客
メールによる追客は、コストをかけずに大量に発信できる点が特徴です。特別な手間もかからないので、長期的な追客に適しています。
メールでの追客の相手は、主に見込み客が対象です。営業担当からすると顧客に対して一斉に情報を発信できる点、顧客からすると好きなタイミングで開封できる点が、大きなメリットと言えるでしょう。
一方、メールは一方的な発信になるので、営業担当からは顧客の反応が見えづらいというデメリットも。他のメールで埋もれてしまったり、迷惑メールとして処理されてしまったりする可能性もあり得ます。顧客によっては開かずにそのまま消去するケースや、開封しても熟読しないケースも多いです。
そのため、メールによる追客は、つい開きたくなる件名にしたり、簡潔でわかりやすい文章にしたりする必要があります。また、時事ネタを組み込んだメルマガ形式だと、その時々で旬な話題を提供でき、顧客に最後まで読ませるうえで効果的です。
手紙による追客
郵送でチラシや手紙(ダイレクトメール)、カタログを送ることで追客を行う方法もあります。送料というコストもかかるため、成約につながる可能性が高い見込み顧客に行うと良いでしょう。
手紙の最大のメリットは、住所が変わらない限りは確実に相手に届けられる点と、視認性に優れている点です。電話ほど営業色も濃くなく、相手の都合に合わせて確認してもらえることもメリットと言えます。
その一方で、デメリットは、手紙やカタログを送るのには手間やコストがかかることです。
営業にかけるコストが無駄にならないように、手紙などによる追客後にはどの程度成約につながったのか効果を検証し、続行するか否かを判断しましょう。
電話による追客
電話で追客をする方法もあります。電話はリアルタイムで相手の反応が見られ、つながりさえすれば確実に追客をすることができる点がメリットです。
一方で、電話は相手に時間をとってもらう必要があり、営業担当も相手の都合に合わせて予定を組まなければならないため、大量の顧客に対して長期的に行うのには不向きでしょう。
電話による追客は、短期集中で成約を決めたい顧客に対してや、展示会などのイベントに参加してくれた限定的な顧客に対して行うのがおすすめです。
SNSによる追客
SNSは若者を中心に利用者が多く、総務省の調べでは20代の97%が何らかのSNSを利用しているという結果※1があります。
そのSNSを利用した追客は、やはり若い世代に対し効果的な発信ができる点、SNSのプラットフォーム自体は無料で利用できる点が魅力です。拡散機能で拡散してもらえる可能性もあり、手軽に顧客とコミュニケーションがとれるメリットもあります。
一方で、発信できる文字数や画像データ数に制限があるため、伝えたい情報を全て発信することが難しく、運用方法の検討や発信内容のファクトチェックに手間がかかる点がデメリットです。
SNSによる追客は、新着情報や、間取りや物件の写真など視覚的に見せたい情報がある場合に、最大の効果を発揮できるでしょう。
※1 参考:総務省 第1部 特集 データ主導経済と社会変革 第1節 スマートフォン社会の到来
まとめ
本記事では、住宅販売における初回接客と追客について解説しました。
初回接客が上手くいかなければ、成約につながる”その次”はありません。また、初回接客がうまくいったとしても、追客を怠ると顧客が競合他社に奪われてしまうといった事態もあり得ます。
初回接客により、まずは顧客に成約までのコースに入ってもらい、それからは顧客の気持ちが離れないよう、つかず離れず追客していくことを心がけましょう。