住宅営業のコツ「株式会社カワムラ様が規格住宅に注力し始めた理由とは?」
規格住宅の営業戦略を5社の事例から学べるPDFをダウンロード>>
株式会社カワムラは北海道旭川市の老舗住宅メーカーです。創業100年の経験で培ったノウハウを活かし、規格住宅を展開しています。カワムラはもともとセミオーダー住宅を販売していたメーカー。なぜ規格住宅に注力し始めたのでしょうか。常務取締役の川村健太氏に聞きました。
規格住宅のコンセプトは【低価格】×【高性能】
――貴社の規格住宅の特徴を教えてください。
川村:弊社の規格住宅「ラクイエ」のコンセプトは【低価格】×【高性能】。寒さの厳しい北海道での生活が快適になるよう、トリプルガラスや高断熱玄関ドア、基礎断熱といったグレードの高い建具や工法を標準仕様としています。これは徹底的なコストカットによって実現したこと。寒冷地域の大手ハウスメーカーでもなかなかできないことだと思います。
用意しているのは「3LDKプラン」「4LDKプラン」「5LDKプラン」「HIRAYA(平屋)プラン」を合わせて15規格。旭川市内であれば「3LDKプラン」で1,500万円から、「5LDKプラン」でも1,750万円から提供しています。
オプションは屋上をリビングのように使える「屋上庭園」、太陽光発電と蓄電池でエネルギーを自産・自消できる「創エネ」、家中まるごと快適にする暖房システム「ヒートポンプセントラルヒーティング」の3種類。やはりコストカットを徹底することで、購入しやすい金額に抑えました。
――お客様の評判はいかがですか?
川村:ラクイエはまだ1年ぐらいのシリーズですが、大変ご好評いただいております。特にオプションの屋上庭園は人気です。夏には家族や友人と一緒にバーベキューを楽しむ方もいらっしゃるんですよ。
規格住宅の営業戦略「住宅営業上の狙いと解決できた課題」
――もともとセミオーダー住宅を多く建てていらっしゃったと思います。なぜ規格住宅に力を入れることにしたのですか?
川村:まずはお客様の満足度をアップするためです。たとえばお客様のオーダー通りに住宅を建てたとしても、100%ご満足いただけるとは限りません。建築前に実物を見られないため、「完成してみたらイメージと違った」、「実際に住んでみたら掃除がしづらかった」というように夢と現実にギャップが生じてしまうのです。
規格住宅はこうした問題をすぐに解決してくれました。人気プランのモデルハウスを常設してあるので、お客様には実物を見てから購入していただけます。モデルハウスのないプランについては大量の写真と動画を用意。購入前にしっかりとイメージを膨らませていただけるので、建築前後のギャップが生じません。
設計は弊社の1級建築士が担当。3,000棟以上の建築経験から得たノウハウを充分に活かした暮らしやすい家が、高い満足度につながっています。
また規格住宅によって、弊社の強みを活かすことができました。弊社は柱や梁のほか、外壁やボード材、床材など、建物に必要なもののほぼすべてを加工できるフルプレカット工場を持っています。この工場を稼働するにはCAD(設計ソフト)へのデータ入力が必要です。オーダー住宅の場合、データを毎回1から入力しなければなりません。一方、規格住宅の場合は、基本的にはいつも同じデータを使って住宅を建てるので入力作業を行う必要がありません。その分だけコストカットにつながり、お客様に還元できるのです。
――規格住宅の営業で大切なことはありますか?
川村:重要なのは「土地戦略」と「営業マンへのコンセプトの浸透化」です。まず土地戦略についてですが、規格住宅を建てる方には合理的な方が多くいらっしゃいます。たとえば「家自体をローコストで建てる代わりに、利便性のいい場所に住みたい」といった要望を持っていることがあるのです。こうしたニーズに応えるためには豊富な自社地を用意しておくだけでなく、提携不動産業者と太いパイプを持っておかなければなりません。
住宅と言うと「どんな家にするか」、「どんな設備にするか」など、家本体のことばかりに意識が向きがちです。これからは「この土地にこのプランの家を建てましょう」というように、土地ありきでお客様に提案する姿勢が必要だと思います。
営業マンが規格住宅のコンセプトをしっかり理解しておくことも大切です。私はリフォームから規格住宅に異動してきたのですが、そのころ営業マンたちに「うちの住宅の売りはなんだと思いますか?」と聞いてみたことがあります。すると営業マンたちから、バラバラの答えが返ってきました。自社商品に対する認識にズレがあっては、売れ行きにもバラつきが出てしまいます。
そこではじめたのが週2回のロールプレイングです。ラクイエの魅力だけでなく、アポの取り方や営業の流れなどを細かく書き込んだ資料を作成。これをもとに、営業マンが別の営業マンを相手に模擬営業するのです。
私はこのロールプレイングを「契約の次に大切な仕事」と位置づけており、契約以外での不参加は認めていません。営業マンにとってはなかなか大変な仕事だと思います。しかし、これによってラクイエの魅力を充分に伝えられるようになり、お客様の満足度アップにつながりました。
株式会社カワムラが描く今後の展望
――最後に今後の展望をお聞かせください。
川村:今後は規格住宅の販売件数をさらに伸ばしていきたいと考えています。現在、規格住宅とセミオーダー住宅の販売割合は6:4程度。これを8:2程度にシフトしていきたいですね。またオプションの数も増やしていきたいと思います。外構やクロスなどお客様の満足度が上がるものを提案できるような体制を整えていきたいと考えています。
今回お話を伺った常務取締役の川村健太氏
株式会社カワムラ 会社概要
代表取締役社長 | 川村 純一 |
所在地 | 〒078-8234 北海道旭川市豊岡4条3丁目7-13 |
創業 | 大正7年(1918年)4月 |
事業 | 新築住宅、リフォーム、住まいのサービス |
Webサイト |
(取材日:2019年6月24日)