住宅営業のコツ「Lib Workが規格住宅を導入したあと顧客満足度が向上した理由とは」
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株式会社Lib Workは熊本県を中心に佐賀県や福岡県、大分県で展開するハウスメーカーです。もともと自由設計の注文住宅を扱っていましたが、2010年から住宅の規格化を開始。最近では住宅営業戦略にVRを導入し、顧客満足度を高めています。Lib Workはなぜ規格住宅を開発したのでしょうか。代表取締役の瀬口力社長にVRの活用シーンも含めて聞きました。
規格住宅で追求したのは高いデザイン性とシンプリシティ
――まずは貴社の規格住宅の特徴を教えてください。
瀬口氏:弊社では「アーキスタイル」「S-Style」という2つの規格住宅を展開しています。「アーキスタイル」のコンセプトは「建築家が建てるような家づくり」です。無垢のフローリングやアイアンの手すりが備わった階段など、高いデザイン性を追求しています。
一方の「S-Style」ではシンプリシティを追求しました。華美な設備仕様ではなく一般的なフローリングや木の手すりなどにすることで、すっきりした家に仕上げています。
どちらもキューブタイプ(総2階)を採用してコストを削減。これによって「アーキスタイル」では35坪で1800万円程度(付帯工事込み)、「S-Style」では同じく35坪で1700万円程度(付帯工事込み)の価格を実現しました。
――お客様の評判はいかがですか?
瀬口氏:「想定していた予算よりも、かなり手頃な価格で購入できた」と喜んでくださる声がもっとも多いですね。
ただ価格面だけでご満足いただいているわけではありません。「アーキスタイル」であれば、たとえば1階の間仕切りをできるだけ減らし、吹き抜けのある開放的なLDKを用意。2階には個人的なスペースを配置する間取りにしています。現在のニーズをとらえながら万人受けする規格を開発することで、「自分の個性を追求するよりも、いい家をより安く」と考えるお客様にぴったりはまったという実感があります。
規格住宅をはじめた理由
――もともとは注文住宅を建てていらっしゃったと思います。規格住宅をはじめたのはなぜでしょうか?
瀬口氏:確かに2010年までは「お客様の想いを100%叶える」をコンセプトに自由設計の家を建てていました。ご存じのように、自由設計の家というのはコーディーネーターがお客様のご希望を一つずつ聞きながら作りこんでいくものですよね。「このお客様の家には腰壁は作らない、ここはパイン材」というように仕様書を作成するわけです。ところがどんなに努力しても、最終的にはクレームになってしまうことがあります。すべてお客様のご希望通りに建てた家であるにもかかわらずです。
お客様からクレームがあったとき、私たちは少しでも理想に近づけるために補修をおこなうなどして対応します。しかし、すべての家でそれができたのは年間の建築数が50棟程度の時期まで。年間100棟を超えてくると、すべてに対応するのは難しいのです。こうした状況のなか、どうすればお客様にご満足いただけるのだろうかと考えて出た答えが規格住宅でした。
――規格住宅にすることでお客様の満足につながるということですか?
瀬口氏:どちらかというと逆でしょうか。規格住宅の場合、はじめからプランも設備も決まっていますよね。たとえば床に使うのはオーク、収納の高さは100センチというように。つまり私たちがこだわりぬいて用意した住宅に納得してくださったお客様だけが買ってくださるのです。現在はお客様と一緒に家を建てるというより、私たちの「商品」を買っていただくのだという考え方をしています。実際、規格住宅についてのクレームはほとんどありません。
VRを活用した住宅営業でさらに高い顧客満足度を実現
――貴社では住宅営業の戦略としてWebマーケティングに力を入れていますね。
瀬口氏:弊社では「e土地net」「平屋ナビ」「地盤チェックナビ」となど自社のWebサイトから独立したカテゴリーサイトを運営しています。ここからお客様と接点を持ち住宅を販売しているのです。
一般的なハウスメーカーはモデルハウスを集客手段として使っています。しかし、モデルハウスは立地や新旧により集客力に差が出てしまうのが弱点。一方Webを活用すれば集客を安定化し、集客コストを大幅に削減できます。弊社では規格住宅、注文住宅、建売住宅かを問わずお手頃な価格で提供していますが、集客にかかる費用をカットできているのも理由の一つなのです。
――それではどのようにモデルハウスを活用しているのでしょうか?
瀬口氏:集客の手段としては使いません。モデルハウスを入り口にお客様を集めようとすると、3年に一度は建て替えなければならなくなります。また運営にはランニングコストがかかりますから、期待される集客効果に対して割高になる恐れがあるのです。
そのため弊社では、Webで集めたお客様に実際の家を見ていただく場所としてモデルハウスを活用しています。お客様はWebで検討してからいらっしゃいますから、ある程度イメージはできているもの。頻繁に建て替えなくてもコミュニケーションを取る場所として機能するのです。
――モデルハウスや住宅展示場ではVRを活用していますね。
瀬口氏:VRを導入したのはお客様の満足度を向上するためです。住宅の販売では、お客様のイメージと完成した物件にギャップがあるのが一番よくありません。このギャップをなくすためにVRを使って、お客様自身の目でプランや仕様を見ていただいています。VR導入前後の統計を取っていますが、顧客満足度は大幅に向上しました。
今後の展望
――最後に今後の展望をお聞かせください。
瀬口氏:現在は熊本県や佐賀県、福岡県、大分県で展開していますが、今後は全国へ拡大していきたいと考えています。「e土地net」を県別版から全国版へアップグレードするほか、さまざまなカテゴリーサイトを開設することで全国展開していく予定です。これに伴い、対応できる店舗を現在の5店舗から100店舗に増やしたいと思います。もちろん規格住宅のバリエーションも増やしていきたいですね。
ただ、戸建て住宅を建てるだけでは、私たちの社会的使命を果たせないだろうと考えています。「一人ひとりにぴったりの暮らし方を提案すること」こそ、弊社の役割だと考えているからです。そう考えると集合住宅やインバウンド向けの民泊など、さまざまな空間を提供することも大切なのではないでしょうか。
また全国に約1000万戸あるともいわれる空き家の活用についても検討しています。たとえば自治体と組んでリノベーションし高級民泊として再生できれば、空き家問題の解決に協力できるかもしれません。人口の減少で空き家が増えてしまった街もコンテンツ一つで生まれ変わる可能性があります。そうした街づくりの過程で、私たちが貢献する方法を考えているところです。
株式会社Lib Work概要
代表者 | 代表取締役社長 瀬口 力 |
本社所在地 | 熊本県山鹿市鍋田178-1 |
電話番号 | 0968-44-3559 |
設立 | 1997年8月1日 |
事業内容 | インターネット集客を特色とした戸建住宅の設計、 施工、販売及び不動産関連事業等 |
URL |
(取材日:2019年10月2日)